海岸はゴミだらけ
館山市は千葉県の最南端にあり、43キロもの海岸線を持ちます。
ビーチが広いので海から打ち上げてくるペットボトルなどのゴミも多く、海岸をきれいにするのは昔からの願いでした。
また、コロナ禍もあり屋外での活動がしやすいことから、市民のビーチクリーンが盛り上がってくるわけです。
ところが役所は縦割り社会で、県で引き受ける場合でも通常は土木事務所ですが、林業事務所など別の部門が管轄するエリアだと「ウチの管轄じゃないから」と言い、ゴミの引き取りに難色を示すこともありました。
こういうことがあると、市民のボランティアはやる気をそがれるわけです。
議員が知事に手紙を書く
館山市のビーチクリーンの特徴は議員が多く参加していることで、数えると7名くらいになります。
ですから市役所の対応の問題点はすでに改善されており、ゴミの回収は事前に連絡をしておくと、市の収集車が取りに来てくれるのでスムーズです。
一方、県の対応の課題については、どうしたものかと苦慮することもありました。
そのような状況で議員の一人が、県知事への「わたしの提言」制度を使って、熊谷知事に手紙を書きました。
内容は県組織の縦割りを解消して、ゴミ処理をスムーズに行って欲しいということです。
それを読んだ知事は改善を指示して、ゴミ処理の縦割りはなくなり、土木事務所一本化されました。
このことにより、市民たちは気持ちよくビーチクリーンを続けられています。
海岸に漂着した木は民間のキャンプ場の薪として活用
ビーチクリーンには都市部からの参加者もおります。
また、地元の高校生たちが来てくれることもあります。
ゴミの不法投棄をしてしまう人は残念ながら世の中にいるわけですが、ビーチクリーンを体験した人は決して、そのようにはならないと思います。
海岸には強風で折れた木が漂着することがよくあります。
こうした木の処理は大変ですが、ビーチクリーンに協力的な民間のキャンプ場が薪として使ってくれるようになりました。
このように市民が主体的に活動し、行政が役割を果たし、議員は市民と行政のパイプ役になって、民間の協力を得ることにより、館山市のビーチクリーンは活発に行われています。
ビーチクリーンが先進的な神奈川県では、県と市町村と民間の出資による「美化財団」という組織が作られ、館山市で行われている官民連携をもっと機動的に実施しています。
これから海洋立県と言える千葉県の海岸が「素足で歩ける美しい浜」になることを期待します。
熊谷俊人
ビーチクリーンにおける県の縦割り行政の実態については石井市議から伺っていたところ、知事への手紙で他の館山市議からの問題提起があり、関係部署と協議し、改善をすることができました。
知事と各市町村議員が直接つながる千の葉の会ならではの取組と感じます。
個別の改善に終わらせずに、県の組織の意識改革、さらには海に囲まれた県の海岸美化をどのように充実させていくのか考えるきっかけにもなっています。
真に誇れる千葉の海を、民間や県民とともに作っていくため、今後も継続して取り組んでいきたいと思います。