胎児ドック(おなかの赤ちゃんの健康診断)をより多くの妊婦が受けられる社会になったらいい

すこし前になりますが、袖ケ浦市議会議員の根本しゅんすけ議員のご紹介で、胎児の健康診断(胎児ドック)が出来る、FMF胎児クリニック幕張東京ベイに視察に行って来ました。
公費で受けられる国もある胎児ドックですが、日本では自費診療で選択肢が少ない状況です。

開拓出来ないのかもしれません。
科学や医療は万能でありませんが、明らかに救える命や選択肢が増えることに目を向けていきたいものですね。

妊婦の方々が安心して出産に向き合える一助となるよう、より多くの皆様に知っていただきたくレポを書きました。

胎児ドックとは何か?

胎児診療は快適な環境で

妊娠初期の妊婦健診(エコー検査)では、胎児の健康については5分間程度の短い時間で、3項目の診断しか出来ないそうです(産婦人科診療ガイドラインより)。
しかし、胎児ドックはたっぷり1時間という時間を使って、胎児の詳細な健康診断を行います。

一緒大画面のモニターを見ながら、赤ちゃんの健康状態を一緒に確認出来ます。照明の調光も、きめ細やかな配慮がなされ快適です。
私自身、妊婦健診の経験は、流れ作業のように診療される感覚で、思い出したくない経験になっています。
しかし、このクリニック環境は、妊娠というライフイベントが素敵な思い出になりそうで嬉しくなりました。

早期の治療につなげられる可能性も

胎児データのビックデータ

イギリスでは約10万件の胎児の検査を行った結果、妊娠初期(11週~13週)の検査で異常が見つかったものが27.6%もあり「こちら」、より重大な問題がこの時期に見つかる場合が多かったそうです。
日本では胎児ドックはあまり知られていませんが、死産の多くが胎児の健康異常とのことなので、この診断を行うことにより、①胎児医療(おなかの中にいる赤ちゃんを直接治療する)救える命が増える②胎児の間に後遺症を残さない治療ができる可能性が増える可能性があるとのこと。

診断結果はビックデータに基づき、診断の参考値としてモニターで即時に情報共有されていました。説明責任にも気を配っておられることが伝わってきます。

多胎妊娠に伴う合併症の診断も可能

多胎妊娠は、母体への負担は大きくなります。
単胎妊娠に比べて膜性によって妊娠中のリスクは大きくなったり、胎児形態異常や、妊娠合併症が発生しやすいと言われているからです。

通常の妊婦健診では胎児の診断を詳細に行えません。
新型出生前診断などは多胎(3人以上など)だとできないので、胎児ドックでそれぞれの子を診察するメリットが大きく、多胎ゆえのリスク(双胎間輸血症候群、TAPS、一児胎児死亡など)を早く、詳細にキャッチでき、対応できる可能性があります。

胎児の健康状態が分かれば、出産の選択肢も増え、安心して妊娠生活に向き合える

カウンセリングルーム(快適な空間でした)

私は、助産院での出産を選択したい気持ちがあったものの、出産時のリスクを考えると怖くて選択出来ませんでした。
しかし、胎児の健康状況が分かり、リスクを自分で知ることが出来れば選択できたように思います。

また、高齢出産をされる方、不妊治療の上ご懐妊された方は、ご心配でいっぱいになる気持ちになる時もあるでしょう。
胎児の健康状態を把握することが出来れば、安心して妊娠生活に向き合うことが出来そうです。

以下は厚生労働省のデータです。
出産年齢について、25~29歳が薄くなり、30~34歳が厚くなり、40歳以上の出産も増えていますね。

厚生労働省 令和3年 出生に関する統計の概況

NPO法人 親子の未来を支える会 との連携

このクリニックでは、NPO法人 親子の未来を支える会「こちら」とも連携され、染色体異常のため障害をもって産まれたお子さんとその家族をサポートする活動を精力的に行われています。

赤ちゃんの病気が突然告げられた場合、その戸惑いや悩みに苦しむのは当然です。
この団体は、そんな方々の支えとして「胎児ホットライン」という相談事業を行われているのです。
本当に素晴らしいです。

おなかの中にいる赤ちゃんについて、詳細に記したブックレット「こちら」は大変良く出来ていたので、流山市の職員にも情報共有しました。
妊娠期には様々なことがあり、寄り添いの専門性が高くなっています。行政職員だけが抱えこまず、専門性の高い団体と連携することは重要です。

なぜ流山に無いのか?(千葉市海浜幕張なのか)

こんな素敵なクリニックが何故流山に無いのでしょう・・と思ったのですが、千葉市海浜幕張を選択した理由が紹介されていたのでシェアします。
なるほど、全国各地から診療にいらっしゃる方を対象にしているんですね。
自費診療になりますが、必要な方は多くいらっしゃるように思います。

1.成田空港・羽田空港から直行バスが出ており、全国からのアクセスがいい
2.比較的安価に宿泊できる施設が併設されている
3.千葉市が国家戦略特区に指定されており、新しい医療に対する規制緩和が期待できる

調整アポ:「こちら
自分たちにも受診者様にもメリットを提供できる「予約〜来院〜顧客管理」を一気通貫で実現

千葉市では12月議会で質問で取り上げられた方もいたようなので、徐々に認知が進むものと期待しています。

長時間の視察の受け入れ、ありがとうございました。
視察が終わる頃にはあたりがすっかり暗くなっていました。

クリニックからの風景
今回ご紹介したスポット・組織

●FMF胎児クリニック東京ベイ幕張
https://tokyobay.taiji.clinic/
(開院のプレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000086243.html
●NPO法人 親子の未来を考える会
https://www.fab-support.org/

特別顧問
吉田雄人

医療は素人ながら、行政職についていた立場からコメントいたします。

母子保健の文脈でも出産後からのケアではなく産前産後のケアが当たり前になりつつある中で、妊娠を考えるお母さんへの産前からの支援が求められるようになっています。不妊症や不育症といった妊娠前の支援などの広がりがその特徴的な例だと思います。

今回の胎児ドックもその一例になりうるケースで、多胎児や逆子といった出産の難しさを乗り越えたり、出産直後に手術などの医療行為を行うことにより赤ちゃんの命や健康が守られることもあるというのは、行政としても注目に値すると感じました。

この記事を書いた人

近藤みほ/流山市

近藤みほ/流山市

"データ重視の冷静さと、街づくりへの情熱を合わせ持つハイブリット議員。時に武闘派”
茨城県潮来市出身、母子家庭で育つ。東京都立大学大学院建築学卒。ITエンジニアリングコンサルティング会社(株)構造計画研究所に就職、大手研究機関のR&Dに従事後、経営企画部にて人材戦略、新規事業開発に従事(12年勤務)。
本会では、現場の課題をよく知る地方議員がネットワークし、成長し、実質的な政策提言を行う場づくりに貢献したい。また上位解脱の風土を壊し、フラットに気軽に政治参画できる場づくりに貢献したい。